十月の庭
秋の庭でわたしはいとわない
散り果てた薔薇の花を悼むことを
クリスティーナ・ロセッティ
色と音が
十月の庭に入り混じる
最後の薔薇があなたの魂に食餌したところ
琥珀色の葉が大ぶりの枝でワルツを踊る
ラファエル前派の美の女王、あなたのように
不思議を発見する
この儚い世の
秋のもの憂い太陽に
そして木漏れ日に
あなたの言葉が
きめ細かな歌となる
献身の賛歌となる
無常な時への
消えゆく刹那への
リディア・キアレッリ(イタリア)
すみくらまりこ 訳
赤い芥子
わたしは炎のなかへ手を入れた
シルビア・プラス
あの夏のこと
あなたは憶えてはいない
ただ赤い芥子が
小さな炎が
あなたの魂を燃やした
無数の芥子が
傷口を開いていた
血を流していた
あなたのなかで
忘却を求めるあなたの旅は
その日 静謐な時間に始まった
いまや道を失い
心の不毛な小路のなか
そして長い夕陽が肌を脱ぎ
悲しい予兆
空を赤く染め
ゆっくりと
あなたを纏っていく
深いかすかな静寂のなか
雨の姉妹
わたしは雨の姉妹
ドロシー・パーカー
空は
ぼろ毛布
崖っぷちが
雨を告げる
鳴る風が
猛威を吹き荒れつくす
わたしは 彷徨う
虹色の小路を
さらに遠く
思いやりのない雲が
星を覆う
わたしは深呼吸する
四月の冷たい孤独を
この雨の夜を
引き寄せながら
リディア・キアレッリ(イタリア)
すみくらまりこ 訳
アーロニィ・トマスへの詩
とても明るく純粋に
あなたの星の光が
この夏の夜に
やさしく瞬いている
タフ川の水面に
浮かんでいる
頁を繰る
風がめくる
貴女の
言葉は
まだ いつもここにある
ウェールズの海の呼吸で
ゆったりと宥められた
イマージュと優しい音を
創造するために